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鉄コン筋クリート
【映画感想】
鉄コン筋クリート

松本大洋の原作は未読(なのでチケット売り場で『鉄筋コンクリート』と言ってしまった、恥っ)。パっと見、連想したのは『AKIRA』。見続けていくと、少年版『ファイト・クラブ』?いやバイレントな『未来少年コナン』というべきか。辺り構わず、ところ狭しと街を疾走!高さなんて関係ないぜ!とばかりに駆けめぐる(でもそれなりに物理法則、ズシンとした重みあり)縦横無尽さ。主人公クロとシロは親に捨てられ社会から見放された子供、いやガキどもで、誰にも何にも縛られず生きているのだが、そんな設定と自由奔放なアクションが連動し、その躍動感が見ていて気持ちがイイ。さながら重力からも社会からも解き放たれているようで。とはいえ。それだけなら、それこそ『未来少年コナン』。でもこの映画の味つけはジブリ作品の上品さとは無縁。このガキども自分たちだけの力で生き抜いてるから、自分だけのルールに従っている。社会のルールなんてお構いなし。手に負えない凶暴な奴らでもあり。近頃観た『ラストキング・オブ・スコットランド』でのセリフに「子供だからこそ余計に怖い」なんてのがあったけれど、それ、ズバリこの映画にも当てはまりそう。剥き出しの本能。滴り落ち、口の中に広がる血の味。混じりっ気なしのそれには、アドレナリンが湧くのも事実なんだけど。
映画はそんな主人公たちのエピソードを縦軸に、横軸に「大人の事情」を絡めていく。出てくる奴ら、刑事以外はワルばかり。が、族でもヤクザでも守るべきものがあったりもする。しかしそれをネタに強請り、裏切り、汚い手段を使う。「てめぇ、汚ねぇぞ!」「悪いな、こっちはプロなんでねぇ」。上には上がいる。キリがない、どす黒い世界。そんな中では手に負えないガキどもといえども、その行動には純粋さを感じたりもする。惹きつけられたりもする。が、やがて彼らも事情に絡めとられ、壁にぶち当たる。自分の力では刃向かえないものに。

物語の舞台となる街は、『ブレードランナー』のLAのように無国籍。それでいて昭和の香り、懐かしさがある不思議な街。画面全体から現実離れした淡いブルーをどことなく感じるので(空のせい?)、摩訶不思議さが一層際立つ。子供が想像力をぶち撒けたような(だからクロが「オレの街だ」なんて言うとやたら似合う)奔放さ。でもそんな街が舞台でも、骨格にあるのは普遍的なストーリー。自分より大きなもの、突き詰めれば抽象的で曖昧な社会というもの(の一部分か)と向き合ったときの物語。

ところで、『未来少年コナン』のようと書いたけれど。あくまで強固なコナンとラナの関係に対し、クロとシロのそれはしだいに揺さぶられてくる。限りが見てくる。アンチテーゼ?・・・ま、といっても、クロとシロはどっちも少年(「やおい」か?とも思うな、苦笑)。二人の関係は置き換えられて面白い。兄弟のようでもあり。男と女の関係のようでもあり。一人の人間を名前、クロとシロに象徴させて分割させたようでもあり。ともあれ。クロの持つものは力。シロは空想。お互いがお互いを補い合い、どちらが欠けても不安定。特にヤクザも怯む力を持つクロが、独りの存在としてはどうしようもなく脆いというのがこの物語のミソで面白いところ。クロに依存しているシロの方が、自立することを覚えれば存在としては強いものにも見える。シロには未来があるがクロにはそれがない。
この映画、ガキが鉄パイプを振り下ろすシーンなんてのがあるとはいえ、根っこにあるものは意外なくらい真摯(これに比べれば「ディパーテッド」のほうが余程アンモラル)。いっそ、アナーキーに突っ走って欲しかった気もするくらい(実際物語的にもそういう道を選ぶことも出来た)。でもそうはしなかなった。壁にぶち当たったときどうするか?それに対するこの映画の答えは、何かを信じること。未来を信じることによって、はじめてクロの生きる道も開けてくる。

そういえば、空想に耽るシロの姿には我が身が重なり懐かしさを感じた。それは僕も子供の頃、絵を描きまくった時期があったからで。落書き帳に絵を(これがまた下手クソ!)ひたすら描いていたあの時は、周りを意識せず思うままを表現出来た。今、同じようことをしろと言われても出来ない(シロとクロが混じり合い、中途半端なグレーの人間になってしまったと思う)。だけど周囲を意識しないそういう力は、今でも強いエネルギーになる。だから自由奔放なクロとシロの物語は、いいなと思う。それに加えてこの映画は、二人の物語をそこに留まらせずさらに一歩押し進めることによって見えてくるもの、それがあるからとってもいい。

鉄コン筋クリート
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テーマ:映画感想 - ジャンル:映画

コメント
この記事へのコメント
観損ねた。
てか、パズーとシータはラピュタでは?
2007/03/27(火) | URL | bure #-[ 編集]
ごもっともなツッコミ(笑)。
これまた赤っ恥!
・・・ありがとうございます。

訂正しておきます。
2007/03/27(火) | URL | エクセルシオ #-[ 編集]
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