空想と現実と。エクセルシオの気ままなブログ。
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ニュー・ワールド
≪映画感想 『ニュー・ワールド』≫

ストーリーは、まぁ、ありふれたメロドラマ。
ポカホンタスを主人公に置いた物語には(コリン・ファレルは実は脇役だ)、そのわりにネイティブ・アメリカンへの視点に物足りなさも(オリジナルの予告を見る限り、大分カットされたシーンがある気もする・・・)。

ただそうした欠点があってなお、この映画には強烈な魅力・・・深い精神世界に触れていくような感覚がある。独白があるから、というだけではない(実際、前作の「シン・レッド・ライン」に比べれば、ずいぶん分かり易い)。映像、音楽、独白が渾然一体となって奏でるハーモニー・・・それがあるからこそ、得られるもの。まさに映像の叙事/叙情詩。テレンス・マリック監督の素晴らしい演出に、ため息・・・。

さて、この映画でとても印象的だったのは。
自然の持つ圧倒的な美しさ・・・ときに逃避的にもなってしまうそれを描きながらも、感傷的に溺れてないこと。異質な西洋文明のなかで生きることを選ぶ主人公を通して、むしろ、未来へ進むことの意味が見えてくる。
自然の雄大な美しさを描いた映画は多い。けれど、その中にある何気ない美を捉えてみせる映画は少ない。マリック監督の映画が深い印象を残すのは、そういう見逃してしまいそうなものにまで極限までこだわり続けているからだ。そういう監督のスタンスと、この映画のテーマは見事に調和している気がする。

クライマックス・・・荘厳な音楽(モーツァルトなんだそう)と映像の流れには、ただただ圧倒された。感動した。

ニュー・ワールド
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テーマ:ニュー・ワールド - ジャンル:映画

暗闇のスキャナー
≪読書感想 『暗闇のスキャナー』≫

「麻薬」が題材になったものには、あんまり魅かれないのだけれど。
それでもこれは、ドラッグものと切り捨てるには惜しい魅力を感じた一作。どちらかというと、ディックお得意の「現実崩壊もの」な気がする。それもとびきり強烈の。

ストーリーらしい、ストーリーはなくて。ジャンキーの日常を淡々とスケッチしていく感じ。・・・なので始めはとっつき難さを感じたものの、そのディティールが詳細なので少しずつ引き込まれていく。

この小説でちょっと面白いな、と思ったのは。「キメた瞬間」だけでなく(こういうのって、いい加減食傷気味)、ドラッグの服用によってもたらされる「現実への不安」に筆が割かれていること。

日常のちょっとした不安感が、ドラッグのせいでどんどんどん増していく。潜入捜査官である主人公が、ジャンキーに混じった「自分自身」を監視しなければならなくなる・・・という特殊な状況が、それをさらに増大させる。じわじわと物語は進むけれど・・・気がついたときには、主人公はアッという間に現実からズレてしまう。ジャンキーである当人はそのことに気がつくわけもなく(まさにミイラ取りがミイラに)。そこが強烈だった。怖かった。

エピローグや主人公の恋人のドナのキャラクターには甘さを感じたものの(どっちも都合が良すぎる)。ジャンキーへの等身大の目線の、悔恨の情に満ちた「あとがき」には泣けた・・・。ドラッグものという枠を超えて、なにか突き刺さるものがある小説だった。

暗闇のスキャナー

テーマ:SF小説 - ジャンル:小説・文学

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